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iPS細胞から毛包再生、重い脱毛症の人の力に

 毛髪は、毛包というさやのような形をした立体組織のなかでつくり出されます。さやの中はケラチノサイトという細胞でできていて、その一番奥に毛乳頭と呼ばれる細胞の塊があります。ここから、すぐ上にある毛母細胞に増殖を促す信号が出ていて、毛母細胞が増えていって表皮の上に出たものが髪の毛です。毛母細胞には寿命があって、ヒトだとだいたい2年から長くて7年ほど。その時期を終えると髪の毛は抜けていきます。これは「毛周期」と呼ばれています。
毛にも幹細胞があります。かつては毛母細胞のある場所と考えられていましたが、もっと上のほうのバルジという場所にあることが20年あまり前に報告されました。毛をつくる構造のほとんどは、この幹細胞からできると考えられています。

 脱毛症にはいくつか種類がありますが、「瘢痕(はんこん)性脱毛症」という病気では、この幹細胞自体がやられて毛がすっかりなくなってしまいます。このタイプの患者はごくまれで、専門外来でも全体の5〜10%ぐらいです。一方、免疫の異常が関係しているといわれる「円形脱毛症」では、毛母細胞や毛乳頭は障害を受けますが幹細胞は生きています。ですから、円形脱毛症は治療がうまくいけば、また毛が生えてくることが期待できるのです

 4年ほど前から毛髪の再生の研究に取り組み、昨年にはヒトiPS細胞を使った毛包の部分再生に成功しました。iPS細胞からケラチノサイトになる前段階の細胞をつくり、毛乳頭細胞と性質のよく似たマウスの細胞と一緒に育てたところ、毛包と同じような構造をした筒状の組織をつくることができました。現在はマウスの細胞などを使っていますが、さらに研究を進めてヒト毛包の完全な再生できたらと考えています。iPS細胞から毛乳頭や毛髪の幹細胞をそれぞれつくり、そこから毛包を再生することも考えています。

 こうしたiPS細胞をつかった毛髪の再生は、毛包の構造が完全に失われる瘢痕性脱毛症の方たちへの治療につながる可能性があります。毛根が傷害をうける円形脱毛症の治療にも活用されるかもしれません。

つづき・引用元:アピタル iPS細胞から毛包再生、重い脱毛症の人の力に  2015年8月10日


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